どのような成分
関節におけるクッションの役割をする頑丈な組織である関節軟骨に存在する自然の化合物である。これらの化合物は、変形性関節炎の炎症による疼痛や関節軟骨の障害などの変形性関節炎の治療に使用される.
米国では1990年代からこの製品の販売額は拡大し、年間1兆円に近づく大きな市場である.
グルコサミンは主に甲殻類の骨格から(chitin)作られる. グルコサミンにいくつかの種類があり,軟骨修復にもっとも適したものは硫酸グルコサミンである. Chondroitinはウシやサメの軟骨から作られる.
変形性関節炎の治療にはこの二つの化合物を同時に用いることが多い. まだ, 単独登用か、併用が良いのかは明確にされていない.
サプリのラベルを注意深く見る必要がある. 硫酸グルコサミンとNアセチルグルコサミンとを混同すべきではない. Nアセチルグルコサミンの関節炎に対する効果の報告はない.
研究からは
30以上の大規模な研究が行われてきているが, 明確な結論は得られていない.
膝の変形性関節症の疼痛や機能を回復するとの結論は得られていない.
Glucosamineが関節疼痛の緩和に、従来の抗炎症薬と変わらない効果があるとの報告もあるが, 長期投与により, グルコサミンとコンドロイチンの併用が偽薬よりも関節の障害がより少ないという結果は得られていない.
米国のNIH(The National Institutes of Health) による、4年間にわたる長期研究でも グルコサミンとコンドロイチン はそれぞれ単独の投与では効果は得られなかったが、併用した場合は偽薬よりも疼痛緩和に有効であった.
一方、EUで行われた大規模な研究では, glucosamineは通常の鎮痛剤よりも疼痛緩和に有効とする結果が得られている.
総括
グルコサミンとコンドロイチン は変形性関節炎の一般的治療になっている. これらはNSAIDsに比べると安全性が高く副作用報告もほとんどない. しかし, どれだけ有効性がるのであろうか? 古い多くの研究は有効性を示していたが, NIHなどが後援した大規模研究ではほとんどが否定的な結果である. このサプリで恩恵を受けられるのは非常に重症のタイプ変形性関節炎の患者に限られる可能性がある.
研究結果は, 矛盾する結果となっているが, このサプリの副作用はごく少ない. 現時点では, このサプリの治療で関節軟骨を回復させる効果はない.
副作用の少ない膝に対する痛み止めと考えるべきでしょう. 2-3ヶ月飲んで効果がなければやめるのが妥当でしょう.
この分野の超専門家からのMasaki Yanagishita Dr. からコメント頂きましたのです。追加します。
コンドロイチン硫酸関する生化学的情報を少し提供します。
コンドロイチン硫酸関する生化学的情報を少し提供します。
コンドロイチン硫酸は軟骨マトリックス中では(細胞によりde novo合成された)プロテオグライカン(糖タンパクの一型)として存在しています。軟骨マトリックス中のコンドロイチン硫酸はタンパク質から切り離し遊離型とすると短時間のうちに軟骨マトリックスからは拡散、消失してしまいます(osteoarthritisにおける軟骨関節からコンドロイチン硫酸が失われる病態の一)。外部から投与された遊離のコンドロイチン硫酸が軟骨マトリックスに細胞外液濃度以上に移行するメカニズムは特にありません。細胞外から与えた遊離のコンドロイチン硫酸鎖の(この分子特異的なendocytosis機構がないため)細胞内への取り込みは非常に効率が悪い(bulk pinocytosisなどの非特異的メカニズムしかない)。また取り込まれたもののほとんどすべてはlysosomeによる分解経路に入りプロテオグライカン合成にそのまま再利用されることはない。
経口投与されたコンドロイチン硫酸は実験誤差、あるいは血中濃度測定限界と区別できない程度しか吸収されない。吸収があるという場合でも腸内細菌による分解が関連している可能性が大きく、これが実験的にコントロールされているstudyはありません。
グルコサミンは細胞中でブドウ糖からの転換で容易に生成され(正常に合成されるコンドロイチン硫酸中のグルコサミンは基本的にすべてブドウ糖由来で外部からの補給は不要)これが不足する病態を想像することは困難です。コンドロイチン硫酸鎖の合成はゴルジ装置内で行われ、プロテオグライカンを作る特定のタンパク質上に構成単糖(グルコサミンの場合はN-アセチルグルコサミン- グルコサミンのN-アセチル化も細胞内では容易に進行します)が一つずつ糖転移酵素により付加され糖鎖が伸長することになります。グルコサミンの硫酸化はコンドロイチン硫酸ポリマーが合成されてからの硫酸転移酵素による付加反応で、硫酸グルコサミン単糖が基質としてコンドロイチン硫酸合成に使われることはできません(細胞内取り込み、糖転移反応に必要なnucleotideとの結合、トランスポーターによるゴルジ装置内への移行のいずれも起こらないと思います)。(さらにコンドロイチン硫酸のlysosomeでの分解過程では - 生合成とは逆の方向で末端から - 一つずつの糖が特異的酵素により加水分解を受けます。硫酸化グルコサミン部分では脱硫酸化後にグルコサミンが加水分解されるので、細胞内でも硫酸グルコサミンが生成することはありません)。
さらに通常コンドロイチン硫酸プロテオグライカンの生合成におけるrate limiting stepは特異的コアタンパク質合成(これがないとコンドロイチン硫酸合成が始まらない)で、これは通常のgenetic control下にあります。また、通常、糖鎖合成酵素群は過剰に存在していて、これが不足するような状態は知られていません。
これらのことを考えると外部から投与した(経口投与は言うに及ばず静脈投与、細胞培養での投与ですらも)コンドロイチン硫酸やグルコサミンにより軟骨マトリックス中のコンドロイチン硫酸量を増加させることは絶望的と考えられます。
残る可能性はコンドロイチン硫酸や(硫酸)グルコサミンが原料として「直接」軟骨マトリックス内コンドロイチン硫酸を増加させる機構とは全く無関係に何らかの薬理作用を発揮しているという可能性は否定できません。事実、経口投与した(この場合は化学構造がコンドロイチン硫酸に類似した)ヒアルロン酸が腸管内に遊走してきた免疫系の細胞に影響を与えることにでヒアルロン酸自体が吸収されなくても関節炎治癒に効果があるなどという人もいます(私は必要なデータが不足していると思いますが)。
参考になる「総説 - 解説」が"Glycoforum (glycoforum.gr.jp)"にたくさん掲載してあります
経口投与されたコンドロイチン硫酸は実験誤差、あるいは血中濃度測定限界と区別できない程度しか吸収されない。吸収があるという場合でも腸内細菌による分解が関連している可能性が大きく、これが実験的にコントロールされているstudyはありません。
グルコサミンは細胞中でブドウ糖からの転換で容易に生成され(正常に合成されるコンドロイチン硫酸中のグルコサミンは基本的にすべてブドウ糖由来で外部からの補給は不要)これが不足する病態を想像することは困難です。コンドロイチン硫酸鎖の合成はゴルジ装置内で行われ、プロテオグライカンを作る特定のタンパク質上に構成単糖(グルコサミンの場合はN-アセチルグルコサミン- グルコサミンのN-アセチル化も細胞内では容易に進行します)が一つずつ糖転移酵素により付加され糖鎖が伸長することになります。グルコサミンの硫酸化はコンドロイチン硫酸ポリマーが合成されてからの硫酸転移酵素による付加反応で、硫酸グルコサミン単糖が基質としてコンドロイチン硫酸合成に使われることはできません(細胞内取り込み、糖転移反応に必要なnucleotideとの結合、トランスポーターによるゴルジ装置内への移行のいずれも起こらないと思います)。(さらにコンドロイチン硫酸のlysosomeでの分解過程では - 生合成とは逆の方向で末端から - 一つずつの糖が特異的酵素により加水分解を受けます。硫酸化グルコサミン部分では脱硫酸化後にグルコサミンが加水分解されるので、細胞内でも硫酸グルコサミンが生成することはありません)。
さらに通常コンドロイチン硫酸プロテオグライカンの生合成におけるrate limiting stepは特異的コアタンパク質合成(これがないとコンドロイチン硫酸合成が始まらない)で、これは通常のgenetic control下にあります。また、通常、糖鎖合成酵素群は過剰に存在していて、これが不足するような状態は知られていません。
これらのことを考えると外部から投与した(経口投与は言うに及ばず静脈投与、細胞培養での投与ですらも)コンドロイチン硫酸やグルコサミンにより軟骨マトリックス中のコンドロイチン硫酸量を増加させることは絶望的と考えられます。
残る可能性はコンドロイチン硫酸や(硫酸)グルコサミンが原料として「直接」軟骨マトリックス内コンドロイチン硫酸を増加させる機構とは全く無関係に何らかの薬理作用を発揮しているという可能性は否定できません。事実、経口投与した(この場合は化学構造がコンドロイチン硫酸に類似した)ヒアルロン酸が腸管内に遊走してきた免疫系の細胞に影響を与えることにでヒアルロン酸自体が吸収されなくても関節炎治癒に効果があるなどという人もいます(私は必要なデータが不足していると思いますが)。
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